僕にしかできない事。 龍笛の何を伝える?
NYには“天理NY雅楽会”というNYで唯一の雅楽団体があります。月に三回程練習しているので、僕もそのお手伝いに行って来ました。 その中にMさんというアメリカ人の笙吹きの方がいて信じられないくらい熱心なんです。練習はすべてICレコーダーで録音しているし、先日は舞を少し指導したのですがビデオでずっと撮っている、、少しこちらが緊張します。。。 そして日本人の宮内庁楽師の名前も良く知っているし、今度誰々がNYで雅楽を演奏するとかよく知ってます。もちろん僕より。 いったい何がそこまで彼を雅楽の虜にさせるのか??ホストマザーのアメリカ人に聞いても“I don't know.” 一緒に演奏してても手移りだって最初は少し早いものの、少し注意するとすぐよくなります。 雅楽は間違いなくこの国に伝わります。 そしてコロンビア大学でも感じた事ですけど曲を吹き終わった後、色々と自分の感じた事、思った事をよく話すし、よく質問してくる。もちろん僕は、Please please speak slowly!!!!!! 日本での稽古においてはあまりない光景です。というのは日本では一方的に上手い人、若しくは年配の人が物申し、それに若い人や初心者が準ずるのが普通のスタイルであって、何と言うか“感じる”という感性を育てる稽古ではないように僕は思います。すべての雅楽団体を見たわけではないので一概には言えませんが。 みんなが自分達の演奏について話すというのは内容がどうであれすごくいい事です。 ただそのMさん、コロンビア大学の学生さん達の話を聞いていると、雅楽をどうしても頭で理解しようとしているのです。例えばMさんの場合、演奏中他の楽器の音も良く聞いていて、それ自体はすごくいい事なのですが、笛のどの指の時に笙はどう合わすのか?篳篥のどの指の時に笙はどの指なんだ?みたいな質問が多いのです。決まって僕は「Just keep your rhythm.」 すごく難しいのですが、雅楽は合わす練習をするのではなく、合ってくる練習をするのです。音を出す練習をするのではなく、音が出てくる練習をするのです。 そしてもう一つはもっともっと音色にこだわらなければならないのです。音が一音の中でしっかりと伸びきるから、拍子が生まれてくるのです。“音”、一つの音が大切なんで、その中にリズム